「午前免除って何?」と思っている土地家屋調査士受験生の方は必見!この記事では、土地家屋調査士試験の免除制度について解説しています。土地家屋調査士試験の筆記試験には「午前の部」「午後の部」があるのですが、実は「午前の部」は条件を満たすと免除になり、しかも大半の受験生が免除になっているのです。この記事を読めば「午前の部」が免除になる為の条件と「午前の部」を回避すべき2つの理由を理解できます。
土地家屋調査士試験「午前の部」とは?
土地家屋調査士試験は、筆記試験と口述試験で構成されています。さらに筆記試験は「午前の部」と「午後の部」で構成されております。この全てに順を追ってクリアしないと土地家屋調査士試験の合格にはなりません。ちなみに土地家屋調査士試験には受験資格はありません。どなたでも受験可能です。
また「午前の部」「午後の部」は名前の通り、同一日の午前と午後に行われます。では両方の試験概要について見てみましょう。
「午前の部」の試験概要
【試験時間】 2時間(午前9時半~午前11時半) 【出題形式】 多肢択一式問題10問、記述式問題1問 ※記述問題は計算問題が6題と図面1題からなります。 【出題内容】 土地及び家屋の調査及び測量に関する知識及び技能であって、次に掲げる事項 ア 土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第6号までに規定する業務を行うのに必要な測量 イ 作図(縮図及び伸図並びにこれに伴う地図の表現の変更に関する作業を含む。)
「午後の部」の試験概要
【試験時間】 2時間半(午後1時~午後3時半) 【出題形式】 多肢択一問題20問、記述式問題2問 【出題内容】 ・民法に関する知識 ・登記の申請手続(登記申請書の作成に関するものを含む。)及び審査請求の手続に関する知識 ・筆界(不動産登記法第123条第1号に規定する筆界をいう。)に関する知識 ・その他土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第6号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力
「午前の部」が回避される理由
土地家屋調査士試験の受験者は毎年4,000人前後いるにも関わらず、「午前の部」の受験者は全体の1割にも満たない状況が続いております。
年度 | 全受験者数 | 「午前の部」 の受験者数 |
---|---|---|
令和3年 | 3,859人 | 157人 |
令和2年 | 3,785人 | 279人 |
令和元年 | 4,198人 | 103人 |
平成30年 | 4,380人 | 138人 |
平成29年 | 4,600人 | 48人 |
なぜ多くの受験生が「午前の部」を回避するのでしょうか。
理由1:「午前の部」は「午後の部」の足切りでしかない
「午前の部」はあくまで「午後の部」の足切りでしかありません。その為、「午前の部」で100点満点を取ったとしても、午前免除の受験者と条件としては変わらないのです。
それならばより簡単に取れる方法を模索する方が賢明です。
詳細は後述しますが、免除資格の1つである「測量士補」は「午前の部」よりも易しいだけでなく、メリットが複数ある資格のため午前免除に活用する受験生が多くいます。
理由2:体力・精神力的に不利になる
土地家屋調査士試験は「午前の部(2時間)」「午後の部(2時間半)」を合わせると試験時間4時間半の長丁場になります。その為、午前免除していない方は2時間分の集中力とエネルギーを使った状態で「午後の部」に臨まなければならず不利になります。
また土地家屋調査士試験の受験会場は全国に9つしかなく、会場に行くのに苦労する方も多いのではないかと思われます。そのため試験開始が、9時半の「午前の部」ではなく、13時の「午後の部」にすることで精神的、体力的に余裕を持つことができます。
午前免除の資格なら測量士補がおすすめ
「午前の部」が免除される資格は「測量士/測量士補/一級建築士/二級建築士」の4つですが、測量士補がおすすめです。解説していきます。
難易度は測量試補が一番低いから
測量士補は、免除になる4資格の中だけでなく「午前の部」を含めても一番難易度が低いとされております。では合格率と受験資格の有無で4資格を比較してみましょう。
資格名 | 合格率 | 受験資格 |
---|---|---|
測量士 | 7.7%〜18.0% | 無し(誰でも受験可能) |
測量士補 | 30.3%〜47.3% | 無し(誰でも受験可能) |
一級建築士 | 21% | 二級建築士、建築設備士であることなど |
二級建築士 | 25% | ・学校で建築関連の指定科目を履修する ・7年間の実務経験を行う |
測量試補試験の勉強内容が土地家屋調査士試験にも活きる
測量士補試験と土地家屋調査士試験は近いところにあるため、どちらの学習も互いに役立ちます。5月に測量士補試験を受験し、10月の土地家屋調査士試験を受験するといった1年間で「ダブル合格する」ことも不可能ではありません。実際に大手予備校でもダブル合格を念頭においた講座が設けられています。
少しでも早く土地家屋調査士試験に合格するために、測量士補による午前免除をぜひ活用しつつ、ダブル合格を狙ってみては如何でしょうか。