土地家屋調査士試験に合格するためには、正しい勉強法と勉強スケジュールが必要になります。またそれらを実行する為には、合格に必要な勉強時間を本番の試験までに確保できるのか、必要な教材を準備できるのか、にかかってきます。
働きながら学習される方が多い土地家屋調査士試験です。最短で合格する為にも、無理ない勉強計画で臨んでください。
合格に必要な勉強時間は1000時間
土地家屋調査士試験の合格に必要な時間は1,000時間です。以前は1,500時間といわれていました。
この1,000時間の内訳をざっくり出すと以下のようになります。
- 法律知識、登記申請書、計算、作図の知識などのインプットに250時間。
- 択一式過去問学習に300時間。平成17年度以降の18年分を5周は解く。※含む復習
- 記述式過去問学習に300時間。平成17年度以降の18年分を3周は解く。※含む復習
- 答練や苦手分野の学習に150時間。
内訳を見ていただくと、合格に必要な勉強時間の1,000時間は「土地家屋調査士試験の筆記試験の午後の部」に絞った話であることが分かっていただけます。
またこの1,000時間は最低限、最短での合格の目安であり、恐らく予備校が出しているものと思われます。それは大手予備校は、1週間に20時間(月80時間)勉強することを基準にして、あとは最短で合格できる期間を目安に勉強時間を計算している節があるからです。他資格での土地家屋調査士を含め、予備校の通学期間×80時間で、大体、合格に必要な勉強時間になります。
資格 | 勉強時間 | 計算式(勉強期間×月80時間) |
---|---|---|
土地家屋調査士 | 960時間 | 12ヵ月×80時間 |
行政書士 | 640~960時間 | 8~12ヵ月×80時間 |
宅建士 | 240~400時間 | 3~5ヵ月×80時間 |
1週間の学習プランと勉強期間
合格に必要な1,000時間を3つのケースに分けて、1週間でどのように勉強しないといけないか出してみました。
概要 | 週の勉強時間 | 週のスケジュール例 | 備考 |
---|---|---|---|
働きながら、1年間の場合 | 20時間 | 平日2時間、土日5時間 | |
働きながら、1.5年間の場合 | 13時間 | 平日1時間、土日4時間 | 通信講座は本試験の1.5年間前から開講 |
受験専業で半年間 | 40時間 | 週6日間を7時間 | 週1日は休日に充てる |
受験専業であれば半年間も不可能ではありません。たまに半年間などの超短期で合格される方がいらっしゃいますが、他資格を持って臨んでいる場合でない限り受験専業である可能性が高いです。
土地家屋調査士試験は働きながら、勉強する方が多いと思います。これから受けようとする年度の本試験までは、あと何週間ありますか?それまでに1,000時間の勉強時間は確保できそうでしょうか?
勉強スケジュールを立てる上での大事なポイント
学習スケジュールを立てる上で、大事なポイントは「いつの試験に受験するのか」「目標の試験日までに何時間勉強できるのか」です。
試験まであと2か月のタイミングで学習を開始しようとしても、実際問題、2か月後の試験には受からず(そもそも受験申請できない)、1年2か月後の試験がターゲットになります。
●受験の申請受付
例年、7月下旬~8月上旬と2週間弱しかありません。
※令和4年度試験は、7月25日(月)~8月5日(金)
●試験日(筆記試験)
例年、10月第3日曜日
※令和4年度試験は、10月16日(日)
土地家屋調査士試験の勉強方法
では、どのよう勉強を、どのような順番で行っていけば良いのでしょうか。
- 法律系の知識をインプットする
- 択一式の過去問を解く
- 関数電卓を用いた測量計算(複素数計算も)、作図のテクニックをインプットする
- 登記申請書のひな型の学習をする
- 択一式と記述式の過去問を解く(前半)
- 択一式と記述式の過去問を解く(後半)
- 苦手分野を克服の為の勉強をする
- 答練にて実践練習をする
- 総復習をする
項目5までを「本試験日と同じ年の2月中に終了」しているとその後、勉強がスムーズに行えます。大手予備校のスケジュール感も大体同じになります。
測量試補試験とのダブル合格を狙う方は、3月~5月半ばの試験日まで、測量士補試験に対する勉強も行っていきます。
法律系知識のインプットする
民法⇒不動産登記法⇒土地家屋調査士法の順に進めていきましょう。
予備校の通信講座を取ってあるのであれば、まずは講義動画の視聴を!
だいたい80時間程度で全講義を受講できるかと思います。1ヶ月で終わらせることを目標にしてください。
択一式の過去問を解く
一通り受講したら、択一式の過去問を解いてみます。その際、択一式の過去問は一問ずつではなく、一年分を一気にやってください。もし、正答率が50%未満なら、再度、法律知識のインプットに注力します。
正答率50%以上をクリアできたなら、他の年度も解きながら復習をしっかり行うことで知識を定着させてください。過去問として解くのは平成17年以降のものに絞って、本試験までに5周したいところです。
問題を解く際は、回答だけでなく、肢毎の○×の理由までわかるようにしましょう。インプットのテキストのどの部分か思い出せるくらいになると良いです。1年分20問を30分位で解けるように意識してください。
関数電卓を用いた計算(複素数計算も)、作図のテクニックをインプットする
択一式の過去問で正答率が50%以上になってきたら、択一式の学習をしつつ、記述式問題を解くために必要なスキルも並行して習得していきます。
土地家屋調査士試験では、座標計算(方向角・点間距離・点の移動・内外分点・交点計算・方向角が90度の交点計算[ショートカット])、基準点測量(放射計算・均等法によるトラバ-ス調整・コンパス法によるトラバ-ス調整・逆計算)、面積計算をする場面があります。それら一つ一つの解き方を習得すると共に、関数電卓という特殊な電卓の使い方をマスターします。作図も大手予備校が「土地家屋調査士試験用の三角定規」を作成し販売てしまうほど、早く正確に行う工夫が必要になります。
これらは予備校の講座や市販の専用テキストで学習できます。一通りと学習したら、次のステップへ進みましょう。
登記申請書のひな型の学習をする
計算方法や作図に関するインプットと演習問題が終わったら、次は登記申請書のひな型を覚えます。
記述式問題の中で、作図と並んで配点が大きいのが登記申請書です。
記述式は土地と建物の2問あり、近年はどちらも登記申請書を書かせる問題が出題されています。
「登記原因及び日付」の独特の言い回しや表示に関する登記申請書ならではのポイントを先にインプットしていきます。
LECやアガルートなど大手予備校のカリキュラムを見ると、登記申請書のひな型の学習は初学者向けのカリキュラムには入っていません。
ですが、問題演習に入る前に学習をしておいた方が合格までのことを考えると効率が良いと思います。
択一式と記述式の過去問を解く
記述式問題を解く下準備が出来たところで、過去問を解いていきたいのですが、ここまでに択一式の過去問の正答率は8割程度になっておいてください。まだ到達していない場合は、択一式に集中しても良いと思います。
土地家屋調査士試験に合格するには、「択一式で17~18問(9割弱)+記述式で基準点」が必要になります。
そのため、8割程度をクリアしてから望めると良いです。
記述式は土地と建物の2問あります。はじめのうちは1問解くのに1時間程度かかるかと思います。
そのため学習の進捗状況によって進め方がわかれます。
①択一式、記述式の土地、記述式の建物と分けて解く
②本番の試験と同じ2時半で、全て解く
過去問は解いて終わりではありません。
解けなかった部分の復習はもちろんのこと、関連する知識でインプット不足のものがあれば、そこも補います。はじめのうちは、解くことに時間がかかるだけでなく、間違いも多いため、復習にも時間がかかります。ですので、一度にやらず、少しずつ進めていってください。
ですが、本番4ヶ月前などからは、本試験と同じ2時間半で全て解くことも行ってください。
土地家屋調査士試験は時間との闘いでもあります。そのため、2時間半という時間に慣れること、解くスピードをあげることも必要です。
過去問学習ですが、平成17年度以降の過去問を、択一式は5周、記述式は3周は解けるように時間配分を意識してください。
苦手分野をなくすための学習をする
過去問学習を進める中で、苦手分野なども出てくると思います。そんな際におすすめなのが、各予備校が出している特化型の講座です。
アガルートはテキストでは伝えにくい記述式の解答方法について動画で教えるといった講座があります。普段、自分が行っている解答との違いを確認することもできるため、とてもおすすめです。
講座名 | 予備校 | 価格 (税込) | 概要 |
---|---|---|---|
民法<狙い目論点>講座 | アガルート | 21,780円 | 民法で出題されると思われる論点をピックアップしました。 また効率的に学習できるように、一問一答形式で190問程度のボリュームにまとめてあります。1問ごとに解説動画を切っているので復習もし易くなっています。 |
不動産登記法総論<狙い目論点>講座 | アガルート | 21,780円 | 択一式で16問出題される不動産登記法、そのうち総論からの出題数は7問~10問と半数近くになります。 本講座では狙われそうな170以上の論点を一問一答形式でまとめ、学習し易くしています。 |
書式ひな形対策講座 | アガルート | 38,280円 | 本試験での出題が予想される「登記申請書」のひな形をスピード学習することができます。 全50問というボリュームで,記述式問題での得点配分が大きい申請書の書き方をマスターすることができます。 |
申請書マスター講座 | LEC | 44,000円 | 全8回の講義で、各申請書の背後の内容を読み解く力を身に付け、申請書と登記記録の関係性を理解していきます。 |
記述式計算ステップ講座 | アガルート | 27,280円 | 記述式問題に必要な計算力を基礎からトレーニングできる講座です。 電卓の操作内容を動画で見せながら、全パターンの解法を解説していきます。 |
記述式過去問【実演】講座 | アガルート | 36,300円 | 記述式過去問の解法プロセスを,実演&解説しています。 計算問題は電卓の操作内容まで、作図は定規の動かし方まで撮影し,解答に到るまでの全ての過程を確認できます。記述式の解き方に自信が持てない方は必見です。 |
答練にて実践練習をする
過去問学習が進んできたところで、答練にも取り組んでみてください。
答練は、本試験と同じ時間で「初見の問題」を解くことで現時点の自分の立ち位置を確認するために使います。また記述式では、添削をうけることで自分では気づいていない間違いやポイントを知るためにも使えます。
なので、過去問の学習が進んでいない状態では答練の学習はおすすめしません。
総復習をする
本試験まであと少しとなった際は、テキストを全て読み直すなど、今までの総復習として、総ざらいをしましょう。
土地家屋調査士試験の勉強に必要なもの
まずは土地家屋調査士試験用のテキスト(教材)になります。
独学で学習する場合は、様々な市販のテキストを用意しなければなりません。予備校であれば、合格までに必要な教材をセットで購入できます。
また記述式に必要な道具として、関数電卓やボールぺン、シャーペン、コンパス、全円分度器、三角スケール、三角定規などが必要です。
これらの道具は、試験当日に会場にも持参する必需品です。
試験のときに余計なストレスに悩まないためにも、勉強のときにどういったものが使いやすいのか確認してみてください。
合格者の勉強期間は、87%が3年以内
大手予備校のアンケート調査では、土地家屋調査士試験の合格者の実質学習期間は、1年以内(24%)、2年以内(33%)、3年以内(30%)という回答になっていることからも、1年~2年以内の学習で受験し合格する。もしダメだっとしても翌年にはリベンジ合格するという方が多いのではないかと思われます。
ですが、土地家屋調査士試験は上位400人しか合格できない相対評価試験です。難易度が高い試験に合格するには勉強時間の捻出だけではなく、効率的に学習することも求められます。
勉強期間やスケジュールに不安がある方は予備校の利用を!
土地家屋調査士試験の合格には、1,000時間の勉強が必要な試験です。
そのため、勉強時間の捻出に苦労する方も多いと思いますが、そのような方は予備校を利用してください。
オススメの予備校であれば、「学習する教材を選ぶ時間/分からない部分を調べる時間/法改正に対する対応」など、予備校を利用しない時にかかる時間を削減できます。
また予備校が効率的に学習するための勉強スケジュールを公開していますので、大まかなスケジュールを自分で立てる必要がありません。
予備校を利用する場合でも、通学講座ではなくの通信講座がおすすめ。
理由は
・開講時期が早いから、勉強時間が確保しやすい
・通学講座よりも10万近く安い
・各予備校のエース級講師が講義を担当している
・講義映像や音声をDLすれば隙間時間でも勉強できる
アガルートアカデミー
例年3月下旬~4月に翌年度の「土地家屋調査士試験」「土地家屋調査士試験+測量士補試験」を目指した講座が開講されます。そのため、予備校を利用しつつ1.5年間の勉強スケジュールを確保できます。さらに開講時にほぼ全てのテキストが送付され、講義動画の視聴も可能ですので、勉強期間を長く取りたい方にはオススメです。
令和3年度の合格率が36.7%で全国平均の3.51倍という驚異の合格実績も掲載している新興のオンライン専門予備校です。初受験の方の合格率も掲載している唯一の予備校です。
通信講座(オンライン講座)専門ですが、フォロー体制が凄いです。無料&制限なしの質問制度は返答が爆速と評判、講師が月1回カウンセリングしてくれる「定期カウンセリング」は有料にも関わらず、多くの方が利用しています。
おすすめ通信講座 | 価格 (税込) | 概要 |
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一発合格カリキュラム | 305,800円 | 合格総合講義、定規の使い方講座、複素数計算、択一式&記述式過去問解説講座、実践答練が含まれます。 合格に必要な基礎知識に重点を置いた無駄のないカリキュラム構成になっています。 |
一発合格カリキュラム
(定期カウンセリングあり) | 415,800円 | 一発合格カリキュラム(旧入門総合カリキュラム)に、定期カウンセリングを付加したもの。 |
ダブル合格カリキュラム | 360,800円 | 測量士補試験と土地家屋調査士試験んのダブル合格を成す為のカリキュラム。 一発合格カリキュラムに測量士補試験対策の4講座を付加したもの。 |
ダブル合格カリキュラム
(定期カウンセリングあり) | 470,800円 | ダブル合格カリキュラムに、定期カウンセリングを付加したもの。 |
東京法経学院
老舗にして最大手の予備校になります。
通信クラスは5月~10月、通学クラスは7~11月に順次開講になります。アガルートアカデミーよりも学習期間が短かいですが、講座全体のボリュームはあります。1日あたりの学習時間を多く取れる方向きの予備校です。充分すぎる実績もこれだけの勉強をクリアしたからとなれば納得ができます。
※令和3年度の合格者404名中318名が東京法経学院の講座やテキストを利用しています。
おすすめ通信講座 | 価格 (税込) | 概要 |
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土地家屋調査士 新・最短合格講座① | 266,420円 | 基礎力総合編+合格直結答練(全21回)+ハイレベルVロードプレミアム答練(全6回) 合格者全額返金のお祝い制度対象 |
土地家屋調査士 新・最短合格講座② | 239,470円 | 基礎力総合編+合格直結答練(全21回) |
土地家屋調査士+測量士補 超短期合格講座2023 合格講座パックB | 299,980円 | 測量士補試験と土地家屋調査士試験んのダブル合格を成す為のセット講座。 基礎力総合編+合格直結答練(全21回)+ハイレベルVロードプレミアム答練(全6回)+測量試補講座 |
LEC
例年6月に翌年度の「土地家屋調査士試験」「土地家屋調査士試験+測量士補試験」を目指した講座が開講されます。テキストも講義動画も順次発送になります。
インプットや演習の講座は比較的コンパクトにまとめられています。とはいえ、答練や公開模試は採点付きでしっかりあるので弱点の確認などには重宝します。
短期合格を狙う方にはオススメです。
おすすめ通信講座 | 価格 (税込) | 概要 |
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土地家屋調査士合格コース | 287,100円 | インプット完成講座+直前ファイナル答練 |
土地家屋調査士&測量士補W合格コース | 346,500円 | 測量士補試験と土地家屋調査士試験んのダブル合格を成す為のセット講座。 土地家屋調査士合格コースに測量士補合格パックが付いています。 |