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土地家屋調査士試験を徹底解説!合格率・出題形式・傾向と対策まで

土地家屋調査士

土地や建物といった不動産の測量と表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士は国家資格です。さらに土地家屋調査士には独占業務があるため資格を持っていない方の参入はできません。そのため土地家屋調査士の平均年収はサラリーマン430万円よりも高い600万円前後とも言われています。

稼げる資格である土地家屋調査士ですが、資格を得る為には難易度の高い試験に合格しなければなりません。

本ページでは土地家屋調査士試験の基本情報だけでなく、合格率、出題形式、傾向と対策、おすすめの予備校まで徹底解説します。

土地家屋調査士試験の基本情報

  • 受験資格:制限はなく、誰でも受験することができます。
  • 受験の申請受付:7月下旬~8月上旬
  • 試験日:筆記試験(例年10月第3日曜日)、口述試験(例年1月中旬)
  • 受験料:8,300円
  • 受験地:東京、大阪、名古屋、広島、福岡、那覇、仙台、札幌、高松
    ※口述試験は、那覇会場では実施されません。筆記試験を那覇会場で受験した場合は福岡会場で実施されます。

受験の申請受付が2週間弱しかありません。その間に手続きをしないといけないのでご注意ください。また受験地も各都道府県ごとに用意されておりませんので、受験地が近県に無い方はご注意ください。

受験者数と合格率の推移

受験者数は平成21年の6,026人から毎年減少傾向にあり、令和2年度では3,785人となっています。受験者数は減少傾向でしたが、合格者数は平成23年から400人前後(390人~418人)となっており、合格率も8~9%台で推移しています。

年度受験者数合格者数合格率
平成21年6,026人486人8.07%
平成22年5,643人471人8.35%
平成23年5,056人390人7.71%
平成24年4,986人418人8.38%
平成25年4,700人412人8.77%
平成26年4,617人407人8.82%
平成27年4,568人403人8.82%
平成28年4,506人402人8.92%
平成29年4,600人400人8.69%
平成30年4,380人418人9.54%
令和元年4,198人406人9.68%
令和2年度3,785人392人10.36%

土地家屋調査士試験の内容・出題形式について

土地家屋調査士試験は筆記試験(午前の部・午後の部)と口述試験に分かれております。

筆記試験の午前の部は「測量士・測量士補・一級建築士・二級建築士」の資格を有する方は免除になるため、ほとんどの受験生が「測量士補」の資格と取って午前の部は受験しません。なので、ここでは、午後の部に絞って説明をします。

試験内容

  1. 民法に関する知識
  2. 登記の申請手続(登記申請書の作成に関するものを含む。)及び審査請求の手続に関する知識
  3. 筆界(不動産登記法第123条第1号に規定する筆界をいう。)に関する知識
  4. 土地及び家屋の調査及び測量に関する知識及び技能であって、次に掲げる事項
    ア 土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第6号までに規定する業務を行うのに必要な測量
    イ 作図(縮図及び伸図並びにこれに伴う地図の表現の変更に関する作業を含む。)
  5. その他土地家屋調査士法第3条第1項第1号から第6号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力

とありますが、筆記試験の午後の部は(1)(2)(3)(5)が対象になります。予備校や市販のテキストでは分かり易く、「民法」「不動産登記法」「土地家屋調査士法」がという風に試験科目をになります。

出題形式・出題数・合格基準など

試験時間は、例年、午後1時~3時半の2時間半で行われます。

多肢択一式
民法3問/不動産登記法16問/土地家屋調査士法1問の計20問(50点満点、1問あたり2.5点)

記述式
土地・建物から各1問の計2問(50点満点)

筆記試験に合格するためには、多肢択一式、記述式の両方で設定される基準点をこえないと足切りになります。さらに多肢択一式と記述式の合計点が合格点に達しなければなりません。

この基準点、合格点は、年度によって変動します。それは筆記試験の合格者が400人前後になるように調整されているからです。(過去10年の合格者数を見ても明らかです。)なので、土地家屋調査士試験は決まった点数を取れば合格できる絶対評価の試験ではなく、他の受験生とも争う相対評価の試験になります。

年度多肢択一式基準点
()内は問数
記述式基準点合格点
令和2年度32.5点(13問)30点71.0点
令和元年度32.5点(13問)33点76.5点
平成30年度35.0点(14問)33.5点81.0点
平成29年度37.5点(15問)36点81.0点
平成28年度30.0点(12問)31.5点74.5点

土地家屋調査士の難易度

土地家屋調査士は不動産系資格の中でも難易度の高い資格です。

上位400人程度しか合格しない相対評価で決まることもその要因ですが、合格率や勉強時間を土地家屋調査士と同じ不動産系資格である「マンション管理士、宅建士、管理業務主任者」と比較すると分かり易いかと思います。
※勉強時間には午前の部の免除資格である「測量士補」の勉強時間も含まれます。
 筆記試験の午後の部だけなら勉強時間は1,000時間強になります。

土地家屋調査士試験の傾向と対策

これから学習をはじめる方の為に簡単ではありますが、傾向と対策のポイントを紹介します。

  • 土地家屋調査士試験は足切りの為の基準点があり、その基準点の合計と合格点には10点前後の差がある
    ⇒基準点と合格点の差は多肢択一式で埋める。(多肢択一式はほぼ満点を目指す)
  • 例年、多肢択一式は民法3問/不動産登記法16問/土地家屋調査士法1問の割合で出題される(法務省の受験案内書に明記はされていない)
    ⇒学習のメインは多肢択一式で配点の8割を占め、記述式にも影響する『不動産登記法』になる。だが  初学者はまず『民法』から学習を始める。民法を理解してからの方が不動産登記法も理解がし易い。
  • 多肢択一式20問と記述式2問を解くには2時間半は少ない
    ⇒多肢択一式に重点をおいて学習しておき、本番では多肢択一式は30分、記述式は各1時間で解く。こちらを目安に過去問学習や模試・答練では自分なりの時間配分を掴む。
    また記述式は素早く正確な計算機の使い方,図面を正確に作成するための定規の使い方といった時間内に解ききるための技術を身に着けることも重要ですので、知識をインプットしつつ技術の習得も並行して行う。